episode19 ページ31
＊*＊*＊
You side
「ふんん〜ふふ〜」
あーちゃんと別れて、鼻歌を歌いながら家へと向かう。本当はタクシーで帰ろうと思ったけど風が気持ちいいから歩いて帰ることにした。話し込んでしまって外はすっかり暗い。街頭の灯りが蛍みたいに輝いている。この道は、人通りは少ないけど前にひーと一緒に帰ってきた道だから迷わないで帰れる。
飯田くんの話題は解散になるまで出ることは無かった。私もあーちゃんも1個の話題としか捉えてなくて、大きく気にすることは無かった。
「あ…美味しそう、アイス」
手元の画面に写った新作のチョコアイス。ひーが好きそうな味だなぁ。買って帰ろうかな。今日、バライティ収録だけだーって言ってたしもう家にいるかも。
「…ちゃ、ん」
「ん？」
階段を上がりきった所で誰かに声かけられたような気がして後ろを振り向く。けどそこには誰もいなくて、頬を刺すような冷たい風が通り抜けて行った。
「誰…？」
問いかけても返事は無い。ひゅっと、息が詰まるような感覚に襲われる。急に怖くなり、私はひーに電話をかけた。けれど彼からの返事はない。
「ひー…お願い。でて？…」
彼からの電話を待っていると誰かに腕を掴まれる。携帯が地面へと落ち、びっくりして固まっていると私の腕を掴んだその人は不気味な笑いを浮かべていた。
「ひ、久しぶり、Aちゃん…！！」
「え？…ぁ…だれ？」
「お、覚えてないの？…薄情者だな、君は…。飯田だよ？」
「飯田くん…？？」
そう！と、興奮気味に答える彼は高校の時とはまるで別人だった。顔も髪も服装もまるで全部。
あの大人しい性格の飯田くんは、もう想像できない。
「飯田くん…なんで？」
「君に会いに来たんだ。僕は君に似合う男になりたくて努力したんだよ？」
「ぇ…？」
彼の握る力が強くなる。それは痛いと思うほどの力で、絶対に離さない。そんな想いが込められているような気がした。
「それなのになに？君はあんな男と…、僕らはの気持ちは一緒だっただろ？」
「…ごめん。なんの事だか分からない」
「僕たち、好き同士だっただろ？君はクラスで浮いてる僕に話しかけてくれたじゃないか」
「そ、それは隣の席だったからで…！！」
話が全く通じない。彼に好意を持たれて居たらしいけど私は高校の時からひーくん一筋。彼のことしか見ていない。早く誤解を解かないと。そうじゃなくと、今の飯田くんは怖くて仕方がない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 114人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハナ(プロフ) - なーりんさん» コメントありがとうございます！！ハッピーエンドバージョンですね…！！検討させていただきます！ (4月11日 12時) (
レス) id: 04da2ae895 (このIDを非表示/違反報告)
なーりん(プロフ) - 最後まで読んで涙が流れました。ハッピーエンドバージョンもお願いしたいです (4月11日 12時) (レス) @page48 id: f918c3d779 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
